環境
気候変動への取り組み
カネカグループでは、地球温暖化防止への対策として、当社独自の環境設備投資促進制度を活用するなど、省エネルギー活動・二酸化炭素(CO2)排出削減活動に取り組み、推進しています。
主要製品についてはLCA(Life Cycle Assessment)評価を進めていますが、今後、評価対象とする製品を拡大していく予定です。また、GHG排出量を比較製品との対比でLCA評価に基づき定量的に評価してGHG排出削減貢献量を算定するcLCA(carbon-Life Cycle Analysis)の活用や、サプライチェーンを通じた事業活動に伴う間接的なGHG排出量(Scope 3排出量)の算定にも取り組んでいます。
気候変動への取り組み-TCFDに沿った情報開示-
カネカグループは「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。」という企業理念のもと、製品・サービスを通じて気候変動問題に対して価値あるソリューションをグローバルに提供するとともに、製造工程や物流工程で生じるさまざまな気候変動への影響に対し社会的責任を果たしていきます。そのような中、カネカは2021年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しました。
省エネルギー活動
エネルギー原単位指数を管理指標として省エネルギー活動に取り組んでいます。
2022年度のエネルギー原単位指数は、カネカ全工場で90.5となり、前年度比は0.1%増加、5年度間平均変化率は99.7%となり、年平均1%低減の目標は未達成となりました。未達成の主要因は原単位に大きな影響を及ぼす製品の生産量の減少です。5年度間平均変化率未達成の主要因も2018年度に対して原単位に大きな影響を及ぼす製品の生産量減少です。
カネカおよび国内グループ会社のエネルギー使用量は、3,802GWhとなり、前年度比10.5%減少しました。主な要因は、生産量の減少によるものです。
環境に関する指標データの算定方法などは、「環境に関する指標データの算定方法と説明 」をご確認ください。
目標および実績・評価
目標 | 2022年度実績 | 評価 | |
---|---|---|---|
エネルギー原単位指数 | 年平均1%以上低減 | カネカ全工場 90.5(前年度比100.1%) | × |
5年度間平均変化率 99.7% | × | ||
エネルギー使用量・エネルギー原単位指数
カネカグループのエネルギー使用量(2022年度)
カネカおよび 国内グループ会社 |
海外グループ会社 | 合計 | |
---|---|---|---|
エネルギー使用量(GWh換算) [GWh/年] |
3,802 (うちカネカ 3,328) |
1,042 | 4,844 |
エネルギー使用量(原油換算) [千kL/年] |
531 (うちカネカ 461) |
138 | 669 |
CO2排出原単位低減活動
生産活動により排出したエネルギー起源CO₂に基づくCO₂排出原単位指数を管理指標の一つとし、省エネルギー活動としてCO₂排出原単位低減にも取り組んでいます。
2022年度のエネルギー起源CO₂排出原単位指数は、カネカ全工場で85.0となり、2022年度の到達目安91.4(2030年度目標84.3)を超過達成しました。
温室効果ガス(GHG)排出量は、カネカおよび国内グループ会社で1,095千トンCO₂eとなり、省エネルギー活動、生産量の減少、電力排出係数低下などの影響により前年度より10.2%減少となりました。今後も省エネルギー活動に継続して取り組むとともにカーボンニュートラル戦略に基づき、イノベーションによる生産工程の合理化や燃料転換などを推進して温室効果ガス排出量の低減に努めていきます。
目標および実績・評価
目標 | 2022年度実績 | 評価 | |
---|---|---|---|
エネルギー起源CO2排出原単位指数 | 年平均1%以上低減(係数固定) 2022年度到達目安91.4 (2030年度目標84.3) |
カネカ全工場 85.0 | ◎ |
GHG排出量·エネルギー起源CO2排出原単位指数
カネカのScope1,2排出量の推移
(千トンCO2e/年)
(年度) | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|
Scope1排出量 | 785.7 | 759.9 | 736.1 | 624.1 |
Scope2排出量 | 246.4 | 262.5 | 335.7 | 338.2 |
Scope1+2合計 | 1,032.1 | 1,022.4 | 1,071.8 | 962.3 |
(注)当社グループの敷地内に設置されたエネルギー供給会社が保有しているコージェネレーションシステムについて、当該設備での燃料使用量を基に排出量を算定してきましたが、2022年度実績より当該設備で生成され当社グループが購入した熱および電力使用量に基づく算定する方法に変更したことに伴い、Scope1、2排出量総量に占めるScope1の割合が従来より減少し、Scope2の割合が増加しました。
Scope1,2排出量(2022年度)
(千トンCO2e/年)
カネカおよび 国内グループ会社 |
海外グループ会社 | 合計 | |
---|---|---|---|
Scope1 直接排出(※1) |
689 (うちカネカ 624) |
102 | 791 |
Scope2 購入電力・熱に係る間接排出(※2) |
407 (うちカネカ 338) |
166 | 573 |
合計 | 1,095 (うちカネカ 962) |
269 | 1,364 |
(注)合計は四捨五入の関係で合致しない箇所があります。
※1 非エネルギー起源CO2およびメタンと一酸化二窒素のCO2換算値を含みます。
※2 カネカおよび国内グループ会社のロケーション基準で算定したScope2排出量は519千トンCO2e(うちカネカ 449千トンCO2e)でした。海外グループ会社のScope2排出量はマーケット基準とロケーション基準で同じ値となります。
サプライチェーンでの事業活動に伴うGHG排出量
サプライチェーンを通じた事業活動に伴う間接的な温室効果ガス(GHG)排出量を算定しています。これまでカネカ単体のScope3排出量を算定していましたが、2022年度実績より連結を対象にScope3の一部のカテゴリの算定を開始しました。表中に記載の-は、未算定です。
カネカグループのScope3カテゴリ別排出量(2022年度)
(千トンCO2e/年)
カテゴリ | カネカ | 国内グループ 会社 |
海外グループ 会社 |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | 1,707.6(※3) | - | - | 1,707.6 |
2 | 資本財 | 55.9 | - | - | 55.9 |
3 | スコープ1、 2に含まれない燃料およびエネルギー関連の活動 | 153.4 | - | - | 153.4 |
4 | 上流の輸送・流通 | 21.4 | - | - | 21.4 |
5 | 事業から発生する廃棄物 | 3.4 | 11.4 | 11.8 | 26.6 |
6 | 出張 | 4.0 | 0.5 | 0.4 | 4.9 |
7 | 社員の通勤 | 1.1 | 1.5 | 1.2 | 3.8 |
8 | 上流のリース資産 | 0.0 | - | - | 0.0 |
9 | 下流の輸送・流通 | (※4) | (※4) | (※4) | (※4) |
10 | 販売した製品の加工 | (※4) | (※4) | (※4) | (※4) |
11 | 販売した製品の使用 | (※5) | (※5) | (※5) | (※5) |
12 | 販売した製品の廃棄 | 539.8 | 106.8 | 235.0(※6) | 881.6 |
13 | 下流のリース資産 | 0.02 | - | - | 0.02 |
14 | フランチャイズ | -(※7) | - | - | - |
15 | 投資 | 397.4 | - | - | 397.4 |
Scope3排出量計 | 2,884.1 | 120.2 | 248.4 | 3,252.7 |
※3 従来は各工程に投入した原材料(中間製品を含む)を対象としていましたが、2022年度より、原材料として購入したものを算定対象にすることに変更しました。
※4 中間製品の割合が多く、合理的な方法で排出量を算定することが困難なため対象外です。
※5 一部製品の使用で排出量が発生しますが、Scope 3排出量全体の0.1%未満であることが確認できたため、算定範囲から除外しました。
※6 Kaneka Medical Vietnam Co., Ltd.での製品の重量換算ができていないため、算定対象に含まれていません。
※7 フランチャイズ店舗を保有していないため対象外です。
カネカのScope3排出量の推移
(千トンCO2e/年)
(年度) | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|
Scope3排出量 | 3,142.9 | 2,905.0 | 3,344.6 | 2,884.1 |
(注)2018年度から2019年度においてScope3排出量が大きく増加した要因は、算定対象カテゴリの追加によるものです。また、2022年度よりカテゴリ1の原料購買データの取得方法を変更しました。
省エネルギー設備投資の促進
エネルギー原単位、CO2排出原単位を継続して低減を図るため、環境設備投資促進制度(中型・小型の投資案件のうち、比較的投資回収期間が長い案件に対して年間3億円の投資枠を設けたもの。気候変動対策を強化するため2020年度までは2億円でしたが、2021年度より3億円に増枠しました。)を当社環境経営の重点施策である「地球温暖化防止」「資源の有効活用」「環境負荷低減」の3つの活動で運用しています。2022年度も多くを地球温暖化防止施策に活用し、エネルギーの見える化など、視点を広げた取り組みにも積極的に活用しました。この制度を有効に活用して省エネルギー活動・GHG排出削減活動を推進していきます。
環境設備投資促進制度実績
年度 | 投資額 | 件数 | 年間CO2削減量 |
---|---|---|---|
2018 | 2億円 | 24件 | 1,748トンCO2 |
2019 | 2億円 | 29件 | 1,227トンCO2 |
2020 | 2億円 | 27件 | 1,010トンCO2 |
2021 | 3億円 | 36件 | 1,757トンCO2 |
2022 | 3億円 | 30件 | 2,319トンCO2 |
環境配慮製品
2017年度から「環境に配慮した経営」を掲げ、お客様の使用段階、廃棄・リサイクル段階において、従来の製品と比べて地球環境負荷低減に貢献できる製品をカネカグループにおける「環境配慮製品」として定義(下表)し、その充実・拡大を図っています。
環境配慮製品を以下のように定義しています。
環境貢献の種類 | 定性的な定義 |
---|---|
GHG削減 | 温室効果ガスの排出を削減できるもの |
省エネ | エネルギー消費を削減できるもの |
創エネ | エネルギーを生み出すもの |
蓄エネ | エネルギーを貯められるもの |
廃棄物削減 | 廃棄物を削減できるもの |
省資源 | 省資源化を達成できるもの |
バイオマス | 化石原料を削減できるもの(非化石原料由来) |
水資源 | 節水・水環境の改善ができるもの |
化学物質汚染 | 化学物質の汚染の防止ができるもの |
生物多様性 | 生物多様性が保全できるもの |
中間素材 | 最終製品が環境貢献機能発揮に不可欠な中間素材 |
災害対策 | 防災、減災、災害発生時に負荷を軽減できるもの |
適応貢献 | 温暖化に適応するためのもの |
物流部門の省エネルギーの取り組み
「改正省エネルギー法」の特定荷主として「エネルギー原単位の年1%削減、かつ5年度間平均原単位1%改善の継続」を達成するため、引き続きモーダルシフトの実施や共同配送の推進、積載率向上などのテーマを掲げ実施しています。
2022年度は、国土交通省のモーダルシフト等推進事業費補助金を活用するなどして、船舶輸送の活用を推進したことにより、CO₂排出量は0.3千トンCO₂減少となり、エネルギー原単位指数も前年度より2.0%減少しました。
物流によるCO₂排出量·エネルギー原単位指数(カネカ)
「フロン排出抑制法」への対応
国が定める「フロン排出抑制法」を遵守し、特定フロンを使用した老朽化機器の更新と機器の管理強化を進めています。
2022年度のカネカのフロン類算定漏えい量は、934トンCO2eで、フロン類算定漏えい量を1,000トンCO₂e未満とする目標を達成できました。国内グループ会社では、1,000トンCO2eを超えるフロン類の漏えいはありませんでした。引き続き、老朽化機器の計画的な更新を進め、地球温暖化係数(※8)の低い機器やグリーン冷媒の選定を行い、機器点検の徹底によるフロン類漏えいの早期発見と対策により、フロン類の漏えいを削減していきます。
※8 地球温暖化係数(Global Warming Potential):二酸化炭素を基準にして、他の温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるかを表した数字です。
カネカのフロン算定漏えい量