環境
気候変動への取り組み
カネカグループでは、地球温暖化防止への対策として、当社独自の環境設備投資促進制度を活用するなど、省エネルギー活動・二酸化炭素(CO2)排出削減活動に取り組み、推進しています。
主要製品についてはLCA(Life Cycle Assessment)評価を進めていますが、今後、評価対象とする製品を拡大していく予定です。また、GHG排出量を比較製品との対比でLCA評価に基づき定量的に評価してGHG排出削減貢献量を算定するcLCA(carbon-Life Cycle Analysis)の活用や、サプライチェーンを通じた事業活動に伴う間接的なGHG排出量(Scope 3排出量)の算定にも取り組んでいます。
気候変動への取り組み-TCFDに沿った情報開示-
カネカグループは「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します。」という企業理念のもと、製品・サービスを通じて気候変動問題に対して価値あるソリューションをグローバルに提供するとともに、製造工程や物流工程で生じるさまざまな気候変動への影響に対し社会的責任を果たしていきます。そのような中、カネカは2021年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しました。
省エネルギー活動
エネルギー原単位指数を管理指標として省エネルギー活動に取り組んでいます。
2023年度のエネルギー原単位指数は、カネカ全工場で96.3となり、前年度比6.3%増加しました。5年度間平均変化率は100.4%で、年平均1%低減の目標は未達成となりました。
カネカグループのエネルギー使用量は、5,301GWhとなり、前年度比9.4%増加しました。主な要因は、生産量の増加によるものです。
環境に関する指標データの算定方法などは、「環境に関する指標データの算定方法と説明 」をご確認ください。
目標および実績・評価
2023年度目標 | 2023年度実績 | 評価 | |
---|---|---|---|
エネルギー原単位指数 | 年平均1%以上低減 | カネカ全工場 96.3(前年度比106.3%) | × |
5年度間平均変化率 100.4% | × | ||
エネルギー使用量・エネルギー原単位指数

CO2排出原単位低減活動
生産活動により排出したエネルギー起源CO2に基づくCO2排出原単位指数を管理指標の一つとし、省エネルギー活動としてCO2排出原単位低減にも取り組んでいます。
2023年度のエネルギー起源CO2排出原単位指数は、カネカ全工場で83.3となり、2023年度の到達目安90.4(2030年度目標84.3)を超過達成しました。
温室効果ガス(GHG)排出量は、カネカグループ全体で1,513千トンCO2eとなり、生産量の増加などの影響もあり、前年度から10.9%増加となりました。今後も省エネルギー活動に継続して取り組むとともにカーボンニュートラル戦略に基づき、燃料転換の計画通りの遂行やイノベーションによる生産工程の合理化などを推進して温室効果ガス排出量の低減に努めていきます。
目標および実績・評価
2023年度目標 | 2023年度実績 | 評価 | |
---|---|---|---|
エネルギー起源CO2排出原単位指数 | 年平均1%以上低減(係数固定) 2023年度到達目安90.4 (2030年度目標84.3) |
カネカ全工場 83.3 | ◎ |
GHG排出量·エネルギー起源CO2排出原単位指数

カネカグループのScope1、2排出量

カネカグループのScope1,2排出量(2023年度)
(千トンCO2e/年)
カネカ | 国内グループ会社 | 海外グループ会社 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
Scope1 直接排出(※1) |
662 | 64 | 125 | 851 |
Scope2 購入電力・熱に係る間接排出(※2) |
444 | 66 | 152 | 663 |
合計 | 1,106 | 130 | 277 | 1,513 |
(注)合計は四捨五入の関係で合致しない箇所があります。
※1 非エネルギー起源CO2およびメタン、一酸化二窒素、三フッ化窒素のCO2換算値を含みます。
※2 ロケーション基準で算出した排出量は、カネカ464千トンCO2e、国内グループ会社69千トンCO2eでした。海外グループ会社のロケーション基準の排出量は、マーケット基準値と同じでした。
カネカのScope1,2排出量

サプライチェーンでの事業活動に伴うGHG排出量
サプライチェーンを通じた事業活動に伴う間接的な温室効果ガス(GHG)排出量を算定しています。これまでカネカ単体のScope3排出量を算定していましたが、2022年度実績より連結を対象にScope3の一部のカテゴリの算定を開始しました。表中に記載の-は、未算定です。
カネカグループのScope3カテゴリ別排出量(2023年度)
(千トンCO2e/年)
カテゴリ | カネカ | 国内グループ 会社 |
海外グループ 会社 |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | 1,817.0 | - | - | 1,817.0 |
2 | 資本財 | 49.3 | 22.7 | 29.3 | 101.3 |
3 | Scope1、 2に含まれない燃料およびエネルギー関連の活動 | 159.1 | 24.9 | 78.9 | 262.9 |
4 | 上流の輸送・流通 | 20.9 | - | - | 20.9 |
5 | 事業から発生する廃棄物(※3) | 5.2 | 10.1 | 7.7 | 23.0 |
6 | 出張 | 7.3 | 0.5 | 0.4 | 8.2 |
7 | 社員の通勤 | 1.3 | 1.5 | 1.2 | 4.1 |
8 | 上流のリース資産 | 0.0 | - | - | 0.0 |
9 | 下流の輸送・流通 | (※4) | (※4) | (※4) | (※4) |
10 | 販売した製品の加工 | (※4) | (※4) | (※4) | (※4) |
11 | 販売した製品の使用 | (※5) | (※5) | (※5) | (※5) |
12 | 販売した製品の廃棄 | 539.3 | 104.6 | 280.3(※6) | 924.2 |
13 | 下流のリース資産 | 0.02 | - | - | 0.02 |
14 | フランチャイズ | (※7) | - | - | - |
15 | 投資 | 406.3 | - | - | 406.3 |
Scope3排出量計 | 3,005.8 | 164.3 | 397.8 | 3,567.9 |
(注)合計は四捨五入の関係で合致しない箇所があります。
※3 廃棄物輸送にかかるCO2排出量はカテゴリ5には含まず、カテゴリ4で算定しています。
※4 中間製品の割合が多く、合理的な方法で排出量を算定することが困難なため対象外です。
※5 一部製品の使用で排出量が発生しますが、Scope 3排出量全体の0.1%未満であることが確認できたため、算定範囲から除外しました。
※6 Kaneka Medical Vietnam Co., Ltd.での製品の重量換算ができていないため、算定対象に含まれていません。
※7 フランチャイズ店舗を保有していないため対象外です。
カネカのScope3排出量(※8)

※8カテゴリ5において廃プラスチックの処理区分の見直しと廃棄物輸送にかかるCO2排出量の控除を過年度に渡って行ったため、2022年以前の実績値を修正しました。
省エネルギー設備投資の促進
エネルギー原単位、CO2排出原単位を継続して低減を図るため、環境設備投資促進制度(中型・小型の投資案件のうち、比較的投資回収期間が長い案件に対して年間3億円の投資枠を設けたもの。気候変動対策を強化するため2020年度までは2億円でしたが、2021年度より3億円に増枠しました。)を当社環境経営の重点施策である「地球温暖化防止」「資源の有効活用」「環境負荷低減」の3つの活動で運用しています。2023年度も多くを地球温暖化防止施策に活用し、エネルギーの見える化など、視点を広げた取り組みにも積極的に活用しました。この制度を有効に活用して省エネルギー活動・GHG排出削減活動を推進していきます。
環境設備投資促進制度実績
年度 | 投資額 | 件数 | 年間CO2削減量 |
---|---|---|---|
2019 | 2億円 | 29件 | 1,227トンCO2 |
2020 | 2億円 | 27件 | 1,010トンCO2 |
2021 | 3億円 | 36件 | 1,757トンCO2 |
2022 | 3億円 | 30件 | 2,319トンCO2 |
2023 | 3億円 | 38件 | 3,692トンCO2 |
環境配慮製品
2017年度から「環境に配慮した経営」を掲げ、お客様の使用段階、廃棄・リサイクル段階において、従来の製品と比べて地球環境負荷低減に貢献できる製品をカネカグループにおける「環境配慮製品」として定義(下表)し、その充実・拡大を図っています。

環境配慮製品を以下のように定義しています。
環境貢献の種類 | 定性的な定義 |
---|---|
GHG削減 | 温室効果ガスの排出を削減できるもの |
省エネ | エネルギー消費を削減できるもの |
創エネ | エネルギーを生み出すもの |
蓄エネ | エネルギーを貯められるもの |
廃棄物削減 | 廃棄物を削減できるもの |
省資源 | 省資源化を達成できるもの |
バイオマス | 化石原料を削減できるもの(非化石原料由来) |
水資源 | 節水・水環境の改善ができるもの |
化学物質汚染 | 化学物質の汚染の防止ができるもの |
生物多様性 | 生物多様性が保全できるもの |
中間素材 | 最終製品が環境貢献機能発揮に不可欠な中間素材 |
災害対策 | 防災、減災、災害発生時に負荷を軽減できるもの |
適応貢献 | 温暖化に適応するためのもの |
物流部門の省エネルギーの取り組み
「改正省エネルギー法」の特定荷主として「エネルギー原単位の年1%削減、かつ5年度間平均原単位1%改善の継続」を達成するため、引き続きモーダルシフトの実施や共同配送の推進、積載率向上などのテーマを掲げ実施しています。
2023年度は、各種補助金も活用するなどにより、継続してモーダルシフトに取り組んだ結果、CO2排出量は0.5千トンCO2減少となりました。一方、鉄道輸送が減少し、車扱(区域便)や小口配送の割合が増加したため、エネルギー原単位指数は前年度より1.9%増加しました。
引き続き、鉄道輸送の活用も含めたモーダルシフトの推進、積載率の向上など輸送の効率化に取り組み、CO2排出量の削減に努めます。
物流によるCO2排出量·エネルギー原単位指数(カネカ)

「フロン排出抑制法」への対応
国が定める「フロン排出抑制法」を遵守し、特定フロンを使用した老朽化機器の更新とフロン使用機器の管理強化に継続して取り組んでいます。
2023年度のカネカのフロン類算定漏えい量は、995トンCO2eで、前年より61トンCO2e増加しましたが、フロン類算定漏えい量を1,000トンCO2e未満とする目標は、2年連続で達成しました。国内グループ会社では、1,000トンCO2eを超えるフロン類の漏えいはありませんでした。引き続き、老朽化機器の計画的な更新を進め、地球温暖化係数(※9)の低い機器やグリーン冷媒の選定を行い、機器点検の徹底によるフロン類漏えいの早期発見と対策により、フロン類の漏えいを削減していきます。
これらの取り組みと情報発信は、一般財団法人日本冷媒・環境保全機構の「フロン対策格付け2023」(※10)においてAランクに選定されました。同機構の「フロン排出抑制法」遵守状況格付け調査において、3年連続Aランクに選定されています。
※9 地球温暖化係数(Global Warming Potential):二酸化炭素を基準にして、他の温室効果ガスがどれだけ温暖化する能力があるかを表した数字です。
※10この調査は、企業がフロン排出抑制法に対する理解・認識、取り組み、情報発信ができているか、各社の統合報告書やサステナビリティ報告書などをオンラインで検索し、一般財団法人日本冷媒・環境保全機構(JRECO)が各社のフロン類の取り組み内容を総合的に判断した上で、「フロン対策格付け」として毎年発表するものです。
フロン算定漏えい量(カネカ)
