内なるパラダイムチェンジャーへの道:新型コロナウイルスの課題を解決する

当社の技術を結集し、世界の課題解決につながるソリューションを提供

新型コロナウイルス感染症の終息が依然見通せないなか、当社グループが持つ低分子医薬品のスケールアップや製造技術、品質管理や品質保証の能力に加え、これまで蓄積してきたタンパク質やプラスミドDNA(※1)など微生物によるバイオ医薬品生産の知見と技術を活かし、ウイルス感染症対策に貢献します。これからも人々が健康で安心・安全な人生を送ることができるさまざまなソリューションの提供により社会の課題解決につなげていきます。

※1 プラスミドDNA:大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれる環状DNA分子の総称。

世界で急がれるインフェクション(感染症)対策への実践

当社は、感染拡大当初よりPCR検査試薬や「アビガン®錠(※2)」の原薬供給を積極的に進めてきました。2020年8月には、アンジェス株式会社や大阪大学などが開発を進めているDNAワクチン(※3)の大量生産に向けた製造体制に参画し、海外グループ会社のカネカユーロジェンテック社で、同ワクチンに使用されるプラスミドDNAの製造を受託いたしました。カネカユーロジェンテック社は、mRNA(※4)やプラスミドDNAなど最先端の高度技術を保有しており、製薬企業やバイオベンチャーが開発を加速させている新型コロナウイルスワクチンの受託製造の旺盛な引き合いに対応を続けています。
また、2020年10月には、新型コロナウイルスを1時間以内に検出可能なRT-qPCRキット(製品名:KANEKA Direct RT-qPCRKit“SARS-CoV-2”)を国内グループ会社の株式会社カネカメディックスより医療機関および検査施設向けに販売開始しました。今回販売している検査キットは、通常検査に必要とされる唾液や鼻咽頭ぬぐい液から採取した検体からのウイルスRNA(※5)精製工程が不要で、熱処理だけで前処理工程が完了します。これにより従来法では約1時間を要していた前処理工程をおよそ5分に短縮することで、PCR検査全体の所要時間を大幅に短縮し、1時間以内の判定が可能となります。

※2 「アビガン®錠」は、富士フイルム富山化学株式会社の登録商標です。

※3 DNAワクチン:危険な病原体を一切使用せず、対象とする病原体の一部タンパク質をコードするプラスミドDNAを摂取することで、当該タンパク質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与させるワクチン。

※4 mRNA:DNAからタンパク質合成の遺伝子情報を写しとり伝えるRNA分子。新たなモダリティとしてワクチンや治療薬への応用が期待されている。

※5 ウイルスRNA:新型コロナウイルス特有の遺伝子のこと。ウイルスRNAをPCR検査で増幅させ、感染の有無を検出する。

写真:カネカユーロジェンテック社のバイオ医薬受託開発製造棟

カネカユーロジェンテック社のバイオ医薬受託開発製造棟

写真:1時間以内に新型コロナウイルスの検出が可能なPCR検査キット

1時間以内に新型コロナウイルスの検出が可能なPCR検査キット

多岐にわたる技術でインフェクション対策に臨む体制

図:多岐にわたる技術でインフェクション対策に臨む体制

組織横断的な社内体制で最大限のソリューション提供へ

当社は、保有する多岐にわたる技術を最大限活用し、幅広い視野からユニークな社会実装を進めていく目的で、感染症対策の研究開発を進める「インフェクション研究チーム」を社内で立ち上げました。PCR検査キット、PCR検査試薬、DNAワクチン中間体の製造、「アビガン®錠」の原薬供給など、世界的な課題である新型コロナウイルス感染症問題の課題解決に向けて幅広く取り組んでいます。今後も当社の持つさまざまな技術を結集することや、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学 de Duve Instituteとの共同研究などを通して、外部の優れた技術の融合などにより、患者様や関連従事者に役立ち、人々が健康で安心・安全な人生を送ることのできる革新医療をはじめとしたさまざまなソリューションを提供し、世界を健康にしていきます。

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