カネカ iPS細胞などの多能性幹細胞の大量培養に関する特許を日本で取得
2018/2/23
株式会社カネカ(本社:東京都港区、社長:角倉 護)は、「iPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞を大量培養する方法」*1に関する発明について、日本における特許(特許第6238265号)を取得しました。これは国立大学法人東京大学(東京都文京区)酒井康行教授らと共同で開発し特許出願を行ったものです。
今回成立した特許は、社会的に影響が大きいと考えられたため、国際出願(国際出願番号PCT/JP2016/052128、国際公開番号WO 2016121737、国際出願日2016年1月26日)の後、日本においてスーパー早期審査請求*2し、早期に登録査定を付与されました。
本特許は、ヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を液体培養する際、リゾリン脂質*3を加えることで、適度な大きさの細胞凝集塊にコントロールすることができ、10億個以上の幹細胞を効率よく、低コストで大量培養することを世界で初めて可能にしたものです。
この特許の権利は培養方法並びにその培養方法で製造された細胞すべてに及びます。なお、日本以外に、米国、欧州、アジアなどにも出願しており、それぞれ成立に向けて手続きを進めています。
今回の大量培養技術に関しては、関連する研究者や企業から高い関心が寄せられており、当社は多能性幹細胞を大量かつ高品質に作製できる技術開発を進め、再生・細胞医療における本技術の実用化に向けた取り組みを加速させていきます。
*1:リゾリン脂質を含む液体培地中で多能性幹細胞を浮遊させながら培養することで、細胞凝集塊を均一で適度な大きさにコントロールし、様々な細胞になることが可能な未分化性を維持した多機能性幹細胞を大量に生産できる方法。(2017年3月14日にニュースリリースhttps://www.kaneka.co.jp/topics/news/n20170314/)
学会発表;ISSCR Annual Meeting 2017(2017年6月、米国/ボストン)、再生医療JAPAN2017(2017年10月、横浜)、第37回日本動物細胞工学会シンポジウム(2017年10月、東京)、The 2018 World Stem Cell Summit(2018年1月、米国/マイアミ)
*2:通常の出願であれば特許取得までに1~2年かかるところを、スーパー早期審査が適用されれば、最短で出願から1か月以内で特許を取得できる。
*3:脂肪酸を1つだけ持つリン脂質。