世界初、酵素の力でお菓子のアンチエージング、15年来の構想を実現
―菓子専用機能性油脂「イニシャル」を発売―
2015/02/13
株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:角倉 護)は、パウンドケーキやバウムクーヘンのような半生菓子*1のソフトさを持続させる菓子専用機能性油脂(製品名:イニシャル)の発売を、3月1日より開始する。本製品は、新規酵素とカネカの油脂改質技術を結集することで、半生菓子の焼きたてのおいしさを長期にわたって維持することを可能にした、世界初の機能性油脂である。
半生菓子など、でんぷんを主原料にした食品は、時間の経過とともに硬くてパサパサの食感へと変化してしまう。この変化は、焼成直後は水と結びついていたでんぷんが、徐々に水分を失って再結晶化*2する「老化」によって起こる。この老化現象を防ぐことは、でんぷんを主原料にした食品における長年の課題であった。当社はパン類における老化防止は、酵素利用技術で可能としてきた。しかし、でんぷんの構成成分である糖分が多い菓子生地では、酵素が働きにくいため、おいしさを保ちながら老化現象を防ぐことが困難とされていた。当社は15年前よりこの課題に取り組み、酵素と油脂に注目して研究を重ね、世界で初めて糖分を多く含む菓子、特に半生菓子の老化を防ぐ機能性油脂「イニシャル」の開発に成功した。マーガリンタイプの「イニシャルMA」と流動状ショートニングタイプの「イニシャルSH」をラインナップする。
本製品の特長は以下の通りである。
① 糖の多い菓子生地においても老化の抑制に効果を発揮する、新規に開発されたアミラーゼ(酵素)を配合している。従来のアミラーゼは糖の多い菓子生地では効果が十分に発揮されなかったのに対し、新規アミラーゼは、糖の多い菓子生地においてもでんぷんを分解して再結晶化しにくくすることにより、半生菓子のソフトさを持続させることが可能になった。
② 焼成した生地の冷却時に固まりにくい特殊な油脂を用いることにより、保存中にも製品が硬くなりにくく、しっとりさを維持できるようになった。
③ 高い抗酸化力を持つポリフェノール*3を配合することで酸化による油脂の劣化を防ぎ、菓子本来の風味を保てるようになった。
菓子市場は、コンビニエンス・ストアでのスイーツ市場の拡大に加え、2020年東京オリンピック開催に向けた観光需要が見込まれる。イニシャルを使用することで、半生菓子のアンチエージングを実現、すなわち食感や風味でより高いレベルの品質を提供することが可能となる。当社は、拡大する菓子市場に向け本製品を販売することで、2015年度売上5億円を目指す。
*2 再結晶化:いったん液状になった物質が再び結晶状態に戻ること。
*3 ポリフェノール:植物に特有に含まれる、抗酸化作用を有する成分。