ポリプロピレン系樹脂の成形性を改善できる加工性改良剤を開発
2014/07/17
ポリプロピレン系樹脂は、軽量性、加工性に優れ、安価であることから自動車内装部品や家電・日用雑貨部品に多く用いられています。その一方で、他の樹脂に比べ溶融時の粘度低下が大きく、溶融した樹脂を引っ張った際の張力が低いことから、シートを熱成形する際にドローダウン(シートが軟化して垂れ下がる現象)が大きく、局部伸びによる厚みバラつきやデザイン上の細かな凹凸模様が乱れるなどの問題がありました。また、射出発泡成形では気泡が破壊されやすいため、2倍以上の高発泡倍率化が難しく、低発泡倍率でも安定生産には課題を抱えていました。今回当社が保有する樹脂改質技術を駆使することにより、これらの問題を解決できるポリプロピレン系樹脂の加工性改良剤を完成させました。
期待される需要分野としては、以下の通りです。
○熱成形性改良剤:耐熱性、軽量性や安価といったポリプロピレン系樹脂の特性を損なわず、加熱成形時におけるドローダウンや局部伸びを防止します。成形品のシワや厚みバラつきを抑制でき、大型の成形品でも加工が容易となり、均一性に優れた成形品製造が可能になります。
需要分野:空力特性を向上させるエアロパーツなどの自動車用部品(シート成形)。床や壁材などの建設・土木資材。
○発泡性改良剤:非発泡射出成形品と同等の剛性を維持した高倍率(3倍~10倍)の射出発泡成形が可能であり、30~50%の大幅な軽量化および使用材料低減によるコストダウンが可能です。
需要分野:ラゲージボックスなどの自動車用部品(射出発泡成形)、エアコンなどの家電・収納ボックスなどの日用雑貨品、パレットやコンテナなどの産業資材、建設・土木資材など。
また、射出発泡成形では成形体表面に気泡の破裂痕や筋状の外観不良が発生しやすく、成形品の塗装が必須となりコスト面で課題がありましたが、発泡性改良とともに外観も改良できる表面性改良剤も開発中です。
○表面性改良剤:射出発泡成形特有の外観不良を抑制することで、成形後の塗装が不要となりコストダウンが可能となります。
需要分野:ドアパネルなどの自動車用部品(射出成形)、テレビなどの家電・日用雑貨品など。
今後の計画として、加工性改良剤などの改質樹脂の他、接着樹脂などのポリオレフィン系樹脂分野の製品群として、2020年に売上高100億円を目指します。
製品カタログはこちらから。
catalog20140717