摂取時は液体で胃の中で半固形状になるよう設計した粘度可変型流動食を開発
―本年6月テルモ株式会社より販売開始―
2014/06/20
株式会社カネカ(本社:大阪市 社長:角倉 護)は、摂取時は液体で胃の中で半固形状になるよう設計した粘度可変型流動食を開発した。テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区 社長: 新宅 祐太郎 以下、テルモ)に販売を委託し、本年6月末より販売を開始する。
一般的に流動食とは通常の食事を十分に摂ることができない方向けの食品であり、液体タイプと半固形状タイプがある。前者は摂取しやすいが、食道を逆流して気管に入ることで起こる誤嚥性肺炎や下痢を引き起こすことがある。後者は誤嚥性肺炎や下痢を引き起こす頻度を下げると言われているが、胃ろう*1と比べて管が細い経鼻経管*2による摂取には使用できないことがある。
*1(胃ろう:腹壁の外側と胃の中をつなぐために、腹壁に開けられた小さな穴のことであり、胃ろうから胃の中にチューブ(胃ろうカテーテル)を通して水分や栄養を注入することができる。)
*2(経鼻経管:鼻から胃または小腸まで細い管を通すことであり、その管を通し水分や栄養を注入することができる。)
当社は食品とライフサイエンス技術を結集し、アルギン酸塩*3が酸性下でゲル化する特徴を応用することで、摂取時は液体で胃に入りpHが低下すると粘度が上昇し、液体から半固形状になるよう設計した。当製品は、介護の現場などで、安心かつ安全への貢献が期待される。
*3(アルギン酸塩:天然の海藻に含まれる食物繊維の一種であり、古くから様々な食品(人工イクラ等)の加工に利用されている。)
本製品は、国内半固形流動食市場で高いシェアをもち、事業の拡大・強化のために更なる製品拡充を目指していたテルモのニーズに一致し、本年4月、開発から製品供給は当社、販売はテルモという内容の売買契約を締結した。
流動食市場は2010年度で640億円と推定されており、年率10%前後で成長しており、2016年には本製品で売上高6億円を目指す。