京都大学 iPS細胞研究所との共同研究契約を締結
2014/05/08
本共同研究では、当社は京都大学iPS細胞研究所(CiRA)とともに、iPS細胞由来の細胞を用いた治療薬シーズの探索・毒性評価による創薬研究を効率的に行うための装置の開発を行います。
CiRAではiPS細胞から様々な組織や臓器の細胞へ分化させる技術開発が進められています。患者由来のiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を用いて病態解明や治療法の研究開発を行うことが可能になっており、新薬開発の初期段階における副作用検査や創薬ターゲット探索など創薬分野でのiPS細胞の活用が期待されています。
当社は、これまでに細胞培養工程でCPC(Cell Processing Center)のようなクリーン度の高い施設を必要としない自動細胞培養装置を開発・上市し、国内では理化学機器として販売しています。今後さらに細胞培養装置の新たなターゲットとして、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の技術を活用し、iPS細胞を用いた創薬スクリーニング装置の開発に取り組みます。今回の共同研究を通して、iPS細胞を用いた創薬スクリーニングを簡便かつ短期間で行うことができる装置を開発することで、根治薬のない希少・難治性疾患に対する治療薬の開発が促進されることが期待できます。
当社は2009年に制定された「KANEKA UNITED宣言」で健康に関する分野を重点分野の一つと位置付けております。今後も医療、ヘルスケアに貢献する研究および商品開発を積極的に展開していきます。
*iPS細胞(人工多能性幹細胞)
皮膚細胞などの体細胞に遺伝子などを導入し、細胞核を初期化することにより作製でき、胚性幹細胞(ES細胞)のように無限に増え続ける能力と体のあらゆる組織細胞に分化する能力を有する多能性幹細胞。山中教授らの研究グループは、2006年にこの画期的な技術の開発を発表し、生命科学の領域に様々な細胞を無限に作り出すことのできるツールをもたらした。iPS細胞は、受精卵を利用して作られるES細胞と違い、倫理的問題を回避できる。また、 患者から採取した体細胞からiPS細胞を樹立し、目的の細胞に分化誘導することにより、疾患特異的な表現型を示す疾患モデルを構築することも可能であると考えられている。