アクリル系繊維・カネカロンの製造設備をマレーシアに新設
- 世界的な需要の増加を背景に90億円を投資 -
2014/02/10
カネカロンは1957年より当社・高砂工業所(所在地・兵庫県高砂市、工業所長・川勝厚志)で製造しており、今回の新設は海外では初めての生産拠点となります。長年にわたって蓄積された当社独自の技術を活かしながら更なる差別化を可能にする革新プロセスを導入していきます。
マレーシアで生産されるカネカロンは全量アフリカ向けに販売致します。主用途は頭髪用の付け毛で、黒人の女性の間で必需品として使用されています。アフリカの中でもサブサハラ(サハラ砂漠より南の地域)は今後も着実な人口増加が見込まれ、2040年には中国、インドを抜いて世界一の人口を擁する地域になると推定されています。このように人口増に伴う旺盛な需要の増加が見込まれる中、引き続き頭髪用付け毛の原料素材の安定供給、新しい商品やサービスの提供に努めていきます。
一方、カネカロン用途は頭髪装飾分野以外にエコファーを中心としたパイル分野及び防護服やインテリア商品に使われる難燃分野があります。いずれの用途もこれからの時代のニーズを反映して需要拡大がみこまれ、これらの用途については引き続き日本からの供給を拡大していきます。
カネカマレーシアはすでに当社のアジア最大の生産拠点となっており、インフラが整備されていること、安定した原料調達が可能であること、世界のハブ港であるシンガポールに隣接していること等、新規海外立地として最適と考えております。今回の新設により、カネカロンは現状の高砂工業所の生産能力61,000t/年と合わせて合計73,000t/年の生産能力となります。
当社は国連WFPの『飢餓と貧困を撲滅する』という使命に賛同し、その活動を支援するため、WFPコーポレートプログラムへ参加しております。当社が製造するカネカロンの販売を通じて、『アフリカの女性の美の追求は個人の美の追求だけでなく、家族の幸せから生まれる』という考えのもと、現在の母親、未来の母親を支援することとし、アフリカで購入いただいた当社製品の売り上げの一部を国連WFPに寄付し、学校給食プログラムを通じてアフリカの女性と子供たちをサポートしています。
*アクリル系繊維とはアクリル成分(アクリロニトリル)の含有量が35%~85%の繊維の呼称です。当社が1957年に世に送り出したアクリル系繊維・カネカロンは「国産技術による合成繊維」の代表的素材であり、人毛・獣毛のようなタッチ、優れた発色性、燃えにくい素材という特徴を利用し、エコファー、カーテン、寝具、ぬいぐるみ、ウィッグ、ヘアピースなど様々な生活シーンに使用されています。