有機ELパネル量産実証設備をOLED青森で増設
―世界初の蒸着技術を導入し、本年4月より稼働開始―
株式会社カネカ 広報室
2013/06/13
2013/06/13
株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:菅原公一)は、有機材料の真空蒸着工程において、新たに面蒸着技術を取り入れた有機ELパネル量産実証設備を、100%子会社であるOLED青森株式会社(本社:青森県上北郡六ヶ所村 社長:瀬﨑好司)に増設し、本年4月より稼働を開始した。本設備は経済産業省先端技術実証・評価設備整備費等補助金より補助を受けている。既存設備はポイントソース(*1)およびリニアソース(*2)による蒸着方式を採用していたが、量産が可能な設備としては、世界で初めて面蒸着方式を採用した。
本設備では、既存設備と比べ、面内蒸着膜厚分布(*3)を5%から3%以内に抑えることと、材料使用効率(*4)を約5%から20%強へ向上させることにより、有機ELパネルを製造するために使用する高価な有機材料の使用量を抑えることが可能となり、変動費を従来の約40%に削減可能となった。加えて、1メートル四方相当の大面積蒸着装置も導入し、更なるコストダウンを目指す。
*1 有機材料の蒸着を一つのノズルから行う方式
*2 有機材料の蒸着を線状に並べたノズルから行う方式。
*3ガラス基板上に有機EL材料を蒸着した時の基板全体における有機材料の膜厚みのばらつきのこと。厚みばらつきの低減は品質の向上、使用材料の量削減に寄与する。
*4蒸着工程において、投入した有機材料に対して実際にガラス基板に蒸着された有機材料の比率のこと。
*2 有機材料の蒸着を線状に並べたノズルから行う方式。
*3ガラス基板上に有機EL材料を蒸着した時の基板全体における有機材料の膜厚みのばらつきのこと。厚みばらつきの低減は品質の向上、使用材料の量削減に寄与する。
*4蒸着工程において、投入した有機材料に対して実際にガラス基板に蒸着された有機材料の比率のこと。
また、有機EL照明は、欧州において白熱灯のようなやわらかい色調の光源が好まれ、有望市場として注目されている。当社は、本年4月にイタリアで開催されたミラノサローネ2013(*5)において、有機ELパネルを用いた「Infuse ~環境に滲む光~」というインスタレーション、欧州のデザイナーがデザインした6種類のプロト照明器具を展示し、建築、照明、ファッション、車等のデザイナー、建築家、メディアなどを中心に約25,000名が来場し、好評を得た。
*5イタリア・ミラノで毎年開催される、世界最大のデザイン見本市場のこと。1961年よりスタートし、今回で49回目。ミラノ市内のショールームや各特設会場、500ヶ所余りで展示が行われ、1週間という期間では見つくせない程のボリュームがある。期間中は世界各国から32万人が来場。当社はミラノトルトーナ地区「Superstudio Più」で展示。
*5イタリア・ミラノで毎年開催される、世界最大のデザイン見本市場のこと。1961年よりスタートし、今回で49回目。ミラノ市内のショールームや各特設会場、500ヶ所余りで展示が行われ、1週間という期間では見つくせない程のボリュームがある。期間中は世界各国から32万人が来場。当社はミラノトルトーナ地区「Superstudio Più」で展示。
有機EL照明は、(1)薄型化できデザイン性に富む、(2)温暖色のやわらかい光が得られる、(3)面光源であり拡散板などの光学部材が不要、(4)水銀を使用しないため環境に優しいという特徴がある。当社の有機ELパネルはレストランなどの店舗照明に採用され、高級住宅用のデザイン照明や有機ELパネルを組み込んだ家具や建材用途などを中心に採用活動を続けているが、更なる需要・用途の拡大を図るためには、従来の光源と比べて高価格である事、有機ELの認知度向上などが課題となっている。
今回の新設備の稼動により、更なるコストダウンをはかり、ミラノサローネをはじめ各種展示会や様々なデザイン・使用用途を提案することで、グローバルで市場創生期を迎えつつある有機EL照明市場において確固たるプレゼンスを築き、更なる事業の拡大を目指す。
以 上
<OLED青森株式会社の概要>
代表者:代表取締役社長 瀬﨑好司
本社所在地:青森県上北郡六ケ所村大字尾駮字弥栄平1ー82
設立年月日:2010(平成22)年9月
資本金:2億5000万円
株主:(株)カネカ100%出資