歯周病に対する還元型コエンザイムQ10の口腔内環境改善について

日本大学との共同研究で効果を確認

株式会社カネカ 広報室
2011/08/03
株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:菅原公一)は、日本大学歯学部歯周病学講座の菅野直之准教授と共同で、還元型コエンザイムQ10*1(以下、還元型CoQ10)に歯周病*2に対する口腔内環境を改善する効果があることを、ダブルブラインド法*3によるヒト臨床研究にて確認しました。この結果は、本年6月4−5日に広島市にて開催された「日本ビタミン学会第63回大会」において発表されました。
*1 CoQ10には酸化型と還元型がありますが、体内では大部分が還元型として存在し、エネルギー産生賦活や抗酸化作用など、細胞が正常に機能するうえで必須の作用を発揮していると考えられます。従来からの酸化型が機能を発揮するためには、体内で還元型に変換される必要がありますが、最近の研究では、体内での変換力は加齢や病気等によって低下することがわかってきています。当社が世界に先駆けて開発した還元型CoQ10は、体内で変換の必要がなく、酸化型よりも幅広く優れた生理活性を発揮することが期待されています。

*2 歯周病(歯槽膿漏)は、プラークに生息しやすい歯周病細菌によって引き起こされる炎症性疾患であり、発症により唾液中の酸化ストレスが増加することが知られています。歯周病の評価には歯周ポケットの深さ、出血、歯肉の退縮量、口臭などが用いられます。

*3 研究の客観性を高めるために還元型コエンザイムQ10が入っていないプラセボカプセルを用い、参加者、試験実施医師共にカプセルの区別を知らないで実施する試験方法。

今回の試験は、軽度から中程度の歯周病を有するボランティア45名(男性37名、女性8名、平均年齢39.4歳)を対象に、還元型CoQ10(150mg/日)あるいはプラセボを2ヶ月間摂取し、摂取前、摂取1ヶ月後、摂取2ヶ月後でのプラークの付着程度、ポケット深さ、プローピング時の出血の有無、歯肉退縮量、口臭、唾液の抗酸化能を測定しました。その結果、摂取2ヶ月後には、還元型CoQ10摂取群で、プラークの付着程度(60.8±12.6%から49.3±24.7%に低下)およびプローピング時の出血点の割合(31.2±21.5%から24.9±20.6%に低下)に統計学的に有意な改善が認められました。一方、プラセボ対象群では、プローピング時の出血点の割合(36.2±17.6%から29.6±18.6%に低下)に有意な改善が認められました。唾液中の抗酸化能については、プラセボ対象群で56.8±13.8%から50.4±8.1%に有意な活性の低下が認められたのに対し、還元型CoQ10摂取群では62.9±12.5%が65.2±18.5%とやや活性が増加する傾向が認められました。口臭の評価では、還元型CoQ10摂取群で63.8±83.5ppbから31.6±22.6ppbへと半分程度まで低下する傾向が認められました。
この結果、還元型CoQ10のサプリメントを摂取することにより、口腔内の環境が改善することが強く示唆されたことから、歯周病治療に対する活用法や作用メカニズムなどの検討を継続する予定です。
今後も、健康増進及びQOLの改善に貢献できる次世代型CoQ10として、還元型CoQ10の有用性に関する研究を進め、市場での更なる認知拡大を図ってまいります。

 

以 上