カネカ 国立感染症研究所との共同研究により難治性呼吸器感染症の検査技術を開発
株式会社カネカ IR・広報部
2021年2月1日
2021年2月1日
株式会社カネカ(本社:東京都港区、社長:田中 稔)は、国立感染症研究所(東京都新宿区、所長:脇田 隆字)ハンセン病研究センター星野仁彦室長らとの共同研究により、近年急激に増加している難治性呼吸器感染症である肺アブセッサス症の原因菌Mycobacterium abscessus complex (MABC)を簡便に検査する技術を開発しました。
MABCは、肺に感染することで難治性の呼吸器感染症である肺アブセッサス症を引き起こします。MABCには3つの亜種*1が存在し、その種類により治療方針や予後が異なること、また、治療薬であるマクロライド系抗生物質に耐性を持つ株が存在することが知られております。そのため、欧米の診療ガイドライン*2では、肺アブセッサス症の診療時に、亜種の判別とマクロライド感受性に関する検査実施が推奨されております。しかし、従来の検査法では、亜種判別に高価な分析装置を必要とし、また、マクロライドの感受性試験には2週間程度の培養期間を要するなど、費用面や迅速性に課題がありました。
今回、国立感染症研究所の遺伝子判別技術と当社の核酸クロマト技術*3を組み合わせることで、約1時間でMABCの3亜種とマクロライド耐性の同時判別を可能としました。本研究成果は、2021年1月11日に国際学術誌“EBioMedicine”に掲載されました。(国立感染症研究所のプレスリリースは→https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/bacteriology/10140-bac-2021-001.htmlの通りです。)
MABCは、肺に感染することで難治性の呼吸器感染症である肺アブセッサス症を引き起こします。MABCには3つの亜種*1が存在し、その種類により治療方針や予後が異なること、また、治療薬であるマクロライド系抗生物質に耐性を持つ株が存在することが知られております。そのため、欧米の診療ガイドライン*2では、肺アブセッサス症の診療時に、亜種の判別とマクロライド感受性に関する検査実施が推奨されております。しかし、従来の検査法では、亜種判別に高価な分析装置を必要とし、また、マクロライドの感受性試験には2週間程度の培養期間を要するなど、費用面や迅速性に課題がありました。
今回、国立感染症研究所の遺伝子判別技術と当社の核酸クロマト技術*3を組み合わせることで、約1時間でMABCの3亜種とマクロライド耐性の同時判別を可能としました。本研究成果は、2021年1月11日に国際学術誌“EBioMedicine”に掲載されました。(国立感染症研究所のプレスリリースは→https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/bacteriology/10140-bac-2021-001.htmlの通りです。)
当社は本技術を用いた検査キットとして、2021年4月の販売開始を目指しております。対象疾患の患者は国内で数千例おられると推定し、国内1万テスト以上の年間使用を見込んでおります。また近年、東アジアや欧米諸国でも患者が増加しており、グローバルでは10万テストほどの年間使用が見込まれ、グローバルにアンメットメディカルニーズの解決に貢献する事で、2023年には10億円の売上を目指します。
当社は新型コロナウイルスを始めとする感染症対策の研究を進める「インフェクション研究チーム」を立ち上げており、DNAワクチン受託製造や「アビガン」の原薬供給、抗ウイルス薬の開発、PCR検査キットなど幅広くソリューションを提供しております。今後も、強みである遺伝子検出の簡便・迅速化技術を生かし、病原体検査・判定キットの提供を含めたさまざまな感染症対策に必要なソリューションを提供して参ります。
以 上
*1. M. abscessus subsp. abscessus、M. abscessus subsp. bolletii、M. abscessus subsp. massiliense の3亜種
*2. 米国胸部学会/欧州呼吸器学会/欧州臨床微生物感染症学会/米国感染症学会が合同で発表した肺NTM症の治療ガイドライン
*3. 菌やウイルス由来の特有な遺伝子を目視で検出する試験紙