核酸クロマト技術による食中毒菌検出キットの販売を開始
―簡便・迅速な食中毒菌検査による食の安心・安全への貢献を目指して―
2016/05/31
リステリア・モノサイトゲネスは代表的な食中毒原因菌であり、汚染された食品の摂取により、発熱や下痢などが引き起こされるため、食肉・乳製品など多くの食品で日々検査が実施されています。食品工場での検査には一般的に公定法(培養法)が用いられていますが、検査工程が多く煩雑で、結果判定に1週間程度を要するため、簡便で迅速な検査法が強く求められていました。本検出キットでは、一晩培養した菌を用いて、菌特有の核酸をPCR*3により増幅させ、核酸クロマト型チップ(サイズ:幅4mm×長さ60mm×厚さ1mm)で、約10分後に結果を目視判定できます。検査に不慣れな人でも容易に取り扱いでき、核酸増幅による高感度検出のため24時間以内に判定できることから、食品関連製品の出荷までの時間を大幅に短縮することが可能となりました。
本検出キットはフナコシ株式会社(本社:東京都文京区、社長:船越 龍彌)などの大手販売代理店を通じて、海外展開も視野に、食品メーカー・検査機関への普及を目指します。さらには他の食中毒菌(サルモネラ、カンピロバクターなど)を対象として製品ラインナップを広げ、さまざまな場面で食品安全に貢献していきます。
当社は「KANEKA UNITED宣言」で健康に関する分野を重点分野の一つと位置付けております。今後も健康に貢献する研究および商品開発を積極的に展開していきます。
*1 菌やウィルス由来の核酸増幅物を有色ライン検出する試験紙。
*2 大腸菌などの一般的な食中毒菌が増殖できない環境下(4度以下の低温や12%食塩濃度)でも増殖する食中毒菌で、生ハムなどの低温保存食品での感染が懸念されている。
*3 Polymerase Chain Reactionの略。核酸合成酵素で菌やウィルス特有の核酸を増幅する一般的手法。犯罪捜査などで利用される技術。