カネカ 脳動脈瘤塞栓コイル新製品を発売
―世界最高レベルのコイル柔軟性を実現―
2019年12月2日
株式会社カネカ(本社:東京都港区、社長:角倉 護)は、脳動脈瘤塞栓コイル*1新製品(製品名:i-EDコイル™)を開発し、11月より日本で販売を開始しました。米国食品医薬品局*2(FDA)に申請中で、承認を取得後、米国でも販売を開始する予定です。2023年にはグローバルでの売上高100億円を目指します。
脳動脈瘤とは脳の動脈に発生するこぶであり、破裂するとくも膜下出血*3を発症します。くも膜下出血は致死率が高く、極めて危険な病気です。治療方法としては、開頭して金属製のクリップで破裂した動脈瘤を挟み込むことで動脈瘤からの再出血を防ぐ外科治療、またはカテーテルを使って血管の内側から破裂した動脈瘤内に塞栓コイルを詰める血管内治療があります。最近では、体への負担が少ないことから塞栓コイルを使う血管内治療の割合が年々高まり、くも膜下出血治療の第一の選択肢になりつつあります。
また、画像診断技術の発達により未破裂の動脈瘤がくも膜下出血発症前に発見される事例が増えています。こうした未破裂の動脈瘤の破裂を予防するために、塞栓コイルを使う血管内治療が行われる割合も高まっています。
当社は今回、塞栓コイルの原材料になる金属線の太さの最適化や構造の工夫などにより、コイルの柔軟性を世界最高レベル*4に高めた製品を開発しました。当製品の使用により、動脈瘤内にコイルをより高密度に詰められるだけでなく、動脈瘤の壁の一部が突出したような不規則な形状の動脈瘤にも対応でき、動脈瘤の破裂のリスクを低減させることが可能となりました。高齢化の進行、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の増加により、患者数はさらに増えることが予想されるなか*5、本製品により脳動脈瘤に対する治療効果の向上が期待できます。
今後も塞栓コイルをはじめとする脳血管疾患用の血管内治療製品のラインアップ拡充を進めるだけでなく、診断や予防といった治療以外の領域に対するソリューションを提供することで、脳血管疾患におけるさまざまな課題の解決に貢献してまいります。
以 上
- 血管内治療に用いられる医療機器。カテーテルの中を通して動脈瘤内に送り込み、動脈瘤に血液が入らないようにする。
- 食品や医薬品、さらに化粧品、医療機器、動物薬、玩具など、消費者が通常の生活を行うに当り接する機会のある製品について、その許可や違反品の取締りなどの行政を専門的に行うアメリカ合衆国の政府機関。
- 脳動脈瘤の破裂により脳を包んでいるくも膜の内側に出血を生じる疾患の総称。
- 当社調査による
- くも膜下出血や脳梗塞に代表される脳血管疾患の患者数は日本で約110万人を超えると推計されています。出典 厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」
塞栓コイル(i-EDコイル™) 血管内治療イメージ図