多能性幹細胞研究

多能性幹細胞の
アプリケーション

多能性幹細胞のアプリケーションイメージ図

多能性幹細胞は以下の2用途への応用が期待されています。

治療応用
既存の治療法や、体性幹細胞による再生・細胞医療では治癒できない難病や怪我はたくさん存在します。
多能性幹細胞は、そのような難病や怪我を治癒できる可能性を持つ細胞として、治療応用のための研究が精力的に行われています。
創薬応用
創薬研究では、細胞を用いた薬剤候補化合物の有効性と安全性の評価が行われます。しかしながら、標的疾患によっては、これまでに使われてきた細胞が必ずしも評価に最適なものではなく、新薬開発が失敗する原因になっています。
多能性幹細胞は、これまでよりも評価に適した細胞に分化させることができるため、創薬研究への応用が進みつつあります。例えば、疾患を持つ患者様由来のiPS細胞からは、疾患の症状を持つ、評価に適した細胞が得られます。また、多能性幹細胞から組織を人工的に作れるようになりつつあり、多能性幹細胞由来の組織を用いた実験が動物実験を代替できる可能性があるとも考えられています。

治療応用

バイオリアクターイメージ図

多能性幹細胞を治療応用するには、多能性幹細胞を培養によりたくさん増やす必要があります。従来、多能性幹細胞は、培養容器等の基材に接着させる方法で培養(接着培養)が行われてきました。しかしながら、接着培養は生産性が低く、コストが高いことが問題でした。
そこで、カネカは、多能性幹細胞を浮遊で培養(浮遊培養)する技術の開発に取り組んでいます。浮遊培養では、生産性が向上し、コストを大幅に低下させることができます。
カネカは、独自の浮遊培養技術をもとに、高品質の多能性幹細胞を商業スケールで生産する検討に取り組んでいきます。さらに、多能性幹細胞を分化誘導する技術と組み合わせていき、多能性幹細胞の治療応用に貢献します。

創薬応用

創薬研究では、標的細胞を仕切りのあるプレートで培養し、莫大な数の薬剤候補化合物が細胞にどのように影響するかを確認し、有効性と安全性を評価します。多能性幹細胞を創薬研究に応用するには、プレートで多能性幹細胞から標的細胞に分化誘導する作業があり、これには非常に大きな労力が伴います。加えて、手作業では、細胞の状態にばらつきが生じ、それが評価に影響する恐れもあります。
そこで、カネカは、プレートで多能性幹細胞を分化誘導するための自動細胞培養装置の開発に取り組んでいます。この自動細胞培養装置により多能性幹細胞の創薬応用に貢献します。

自動細胞培養装置と自動細胞培養装置内での処理イメージ