情熱と信頼で築く絆。
意見をぶつけ合いながら、
明確なゴールへ
※所属は取材当時
谷 真一
QOL事業部
機能性食品営業グループ
販売チームリーダー
1988年入社
教育学部教育学科(学士)卒
山﨑 淑恵
QOL事業部
機能性食品営業グループ
販売チーム
2008年入社
学芸学部英文学科(学士)卒
攻めの営業への
転換期に出会う
お二人が初めて会ったときの印象を聞かせてください。
谷
明るくて元気そうな子だな、と思いましたね。でも、甘やかす気はなかったので、山﨑には「営業としてビシビシ育てるから、どんどん外へ出て営業を覚えろ」と言いました。
山﨑
人事から2008年の7月に異動となり、最初はデスクワークをやるのだろうと思っていたので、いきなり「スーツを着て営業へ行け」といわれたときは、ちょっと戸惑いました。
谷
実は、彼女が機能性食品営業グループへ異動してきたときは、コエンザイムQ10(以下、Q10)事業の転換期だったんです。以前は、生産が間に合わずお断りしなければならないほどお客様のほうから注文をいただいていたのですが、中国をはじめ低コストを武器に市場に参入してくる企業が増えたことで、待っているだけでは売上が立たない時代へと変わりました。「待ちの営業」から積極的に仕掛けていく「攻めの営業」への転換です。私も、彼女が異動してくる半年ほど前、攻めの営業部隊へ生まれ変わらせるために、この部署へ呼ばれたところでした。だから、新人にも早く戦力になって欲しかったというのが本音です。
良い製品かどうかを判断するのは、消費者
「待ちの営業」から「攻めの営業」へ。具体的には何をしたのですか?
谷
サプリメントとしてQ10を提供する市場は、飽和状態にありました。サプリメントを製造しているメーカーへQ10を販売する従来の手法では、たとえ攻めに転じても限界があります。そこで、新しいマーケットを開拓する必要があったのです。
山﨑
だから、異動後しばらくは、食品にQ10をいれた製品の開発を提案するため、食品メーカーばかり回っていました。その動きの中で誕生したのが、Q10入りのグミです。
谷
その頃カネカは、「良い製品をつくったから営業さん売ってください」という会社でした。確かに良い製品で、そこが当社の強みであり、営業としても自信を持ってお客様に勧められるのですが、良いかどうかを最終的に判断するのは、買う人であり、使う人のはずです。だから、営業には作り手側=川上からではなく、消費者側=川下から発想する視点が大切で、この考え方から着眼点を得たのが、このグミでした。
山﨑
薬のように1日1回水で飲み込むのではなく、おいしいお菓子感覚で子供からお年寄りまで気軽に食べられる商品のほうが、喜ばれると考えました。
谷
実は、アメリカにはすでにQ10を配合した食品の市場が存在します。一方、日本にはまだない。そこで、山﨑が話したような内容を説明しつつ、「日本で最初になりませんか」と、ある飴メーカーさんに提案したのです。
山﨑
谷さんが、そうやって突破口を開いたあと、他部署にも協力を仰ぎデータ収集や資料作成をして、何度となくブレストをして製品イメージを何通りも提案したりしながら、形にしていきました。
谷
私と山﨑がタッグを組んで世に送り出した製品の一つですね。
新しいスキームを構築する醍醐味
マーケットを開拓するため、他に行っていることはありますか?
山﨑
マーケットというよりも、購入者の裾野を広げるという意味で、認知度を高めることも重要だと考えています。今、私たちが推している製品は、Q10の中でも「還元型」というものです。「還元型」は働く姿そのものなのですが、残念ながら一般的にはあまり知られていません。
谷
認知度向上というとコマーシャルといったプロモーションが、まず思い浮かびますが、営業の現場でできる認知度向上というものもあります。たとえば、消費者との接点を持つ小売店の販売員さんに広めてもらう方法です。そこで、あるドラッグストアさんとタッグを組んで還元型Q10入りのプライベートブランドを開発しました。従来は、当社がメーカーへ原料を販売して、メーカーが製品化したものが小売店へ届いていました。その流れを変えて、当社と小売店が直接パートナーシップを組むことで利益率の高い製品を開発し、販売員さんの販売意欲を高めようという方法です。また、販売時の知識を補完するため、山﨑が全国22カ所の店長会議にお邪魔して、還元型Q10の特徴や効果を教育していきました。ここ3~4年続けているので、延べ2400人くらいになるのではないでしょうかね。
山﨑
いま振り返ると、大変貴重な機会でしたが、劇場のような大きなステージに立って説明したことも何度か……。さすがに最初は手が震えましたよ(笑)。でも、こういう地道な活動を繰り返していくと、お客さんも知識が深まって喜んでくれます。中には、「この商品をなくすことはできません。事業の柱になっています」といってくださるお客様もいて、胸が熱くなることも。そんなとき、営業でよかったと思えます。
谷
この例のように、ときには売り方の新しいスキームをつくりあげることもできる。営業の面白さは、そんなところにもあると私は思っています。
ゴールだけは見失うな
お二人のコンビネーションが抜群に感じるのですが、
山﨑さんから見て、谷さんはどのような上司ですか?
山﨑
谷さんをこの部署へ引っ張ってきた上司の方もそうだったのですが、目標=ゴールを明確に示してくれて、そこへグイグイと引っ張っていってくれる存在です。
谷
私を呼んでくれた上司が、行動力があって率先垂範する人でした。ゴールを明確にしているから、その途中に立ちふさがる課題にも柔軟に対応していましたね。課題を真正面から解決することもあるし、多少回り道になってもゴールがブレないと判断すれば、課題を避け、ときにはやめてしまうこともありました。そんな朝令暮改は珍しくありませんでした。一方カネカには、どちらかというと慎重派が多いのですが、このタイプは利点も多い反面、一歩間違えると、目の前の課題解決にばかり奔走して、気がつくとゴールからそれている危険があります。仕事のための仕事ばかりして全然ゴールに近づいていないというケースです。もちろん、慎重かつ目的を見失わない優秀な人もたくさんいますけどね。とにかく私は、まずは日頃からゴールを明確にするように意識して仕事をしています。
山﨑
その話はよく聞かされます。「課題を解決したとき、自分の思い描いていたゴールに近づけているか常に意識しろ」と。そういった教えを実際に行動で示してくれるので、「この背中について行こう!」と思わせてくれる頼もしい上司ですね。
谷
その割には、けっこう反抗するけどな(笑)。
山﨑
それは、私も意思を持って動いているので(笑)、納得いかなければ反論します。
谷
山﨑のいいところは、自分が間違っていると納得できれば、素直に謝って気持ちを切り替えられるところです。それに、普段から状況をこまめに報告してくれるので、一歩引いたところから、現状を冷静に把握することもできます。
山﨑
ただし、状況報告だけで済ましてしまうと、「こういう現状だから、私はこうしたいと思うのですが、どうお考えになりますか?」と聞いてこいって叱られます。
谷
自分がどうしたいのか言わないと、従うだけになってしまう。しかし、現場のことをもっとも知っているのは現場の人間であり、その位置から見た意見が一番重要なはずなのです。だから、営業には、思ったことは口にする、納得するまで上司や同僚と話し合う、それで間違っていたと気づいたら謝って軌道修正できることが大切なんだと思います。私も、自分が間違っていると分かれば、山﨑に謝りますよ。
山﨑
謝ってくれます。謝る回数は私のほうが圧倒的に多いですが(笑)。でも、そうやって何でも話せる環境があるから、頑張っていられるのだと思います。
谷
「これは違うと思います」と言える環境は、会社にとって大事だと思います。女性だからとか、こんなことはしてはいけないとか、あまり気にせず素直に思ったことを言える働きやすい職場環境――そんな環境づくりが私の使命だと思っています。
山﨑
普段からそう言ってくださるので、私も伸び伸びと仕事に打ち込んでいます。
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