労働安全衛生

カネカグループでは、「安全」を経営の最重要課題とし、社会的責任を果たすため、安全に安心して業務が遂行できるよう、環境や精神面でも生き生きと充実した状態を構築することが大切であると考えています。

労働災害防止に向けて

カネカグループでは、「ゼロ災行動指針」を定め、社員一人ひとりが定められたルールを確実に守り、安全文化の醸成に向けた行動につなげています。

ゼロ災行動指針

  • 君も私もかけがえのない人
    誰一人ケガ人を出さないようにしよう[ゼロ災への決意]
  • 安全はみんなで築くもの
    一人ひとりが安全を考える時間を持とう[安全への参加]
  • 安全に妙手は無い
    基本に立ち返り地道に努力しよう[安全は基本から]
  • 危険を予知しよう
    潜在的危険を撲滅しよう[安全の先取り]
  • 災害はすき間で起こる
    漏れや、すき間が無いかを常に考えよう[99%は0%]

ESG安全・品質査察では、工場の安全管理状況やゼロ災行動指針に基づいて安全活動の実施状況を現場で確認し、改善が必要な項目は本社と工場が共有しています。一年を期限とした改善計画を立て、年間を通じてPDCAを回しています。
2023年の労働災害は、安全意識の徹底不足による労働災害が頻発し、発生件数は直近3年横ばいでした。カネカグループの災害度数率は、0.42と昨年より0.07ポイント悪化しました。カネカグループの災害強度率は、重大災害件数が減少したため0.01ポイント改善しました。引き続き、危険感受性の向上と設備安全化など、ゼロ災行動指針にこだわった安全活動を進めることで、社員一人ひとりの安全意識の向上、労働災害の発生防止を図っていきます。

休業・不休業災害発生件数

(注)災害発生件数には、カネカおよびカネカグループで就業する協力会社社員を含みます。

災害度数率

度数率:災害発生頻度を表す指標で、延べ労働時間100万時間当たりの死傷者数のこと。

(注)対象範囲:正社員、嘱託社員、外部から派遣された派遣社員が所属する製造事業所が対象です。ただし、2024年8月に竣工したカネカ苫東工場は2023年実績の集計対象外です。また、外部からの受入出向者、外部への出向者ならびに協力会社の社員も含みません。

災害強度率

強度率:労働日数の損失によって災害の重さの程度を表す指標で、延べ労働時間1,000時間当たりの労働損失日数のこと。労働損失日数は、休業災害における休業日数と同じ日数として算定。

(注)対象範囲:正社員、嘱託社員、外部から派遣された派遣社員が所属する製造事業所が対象です。ただし、2024年8月に竣工したカネカ苫東工場は2023年実績の集計対象外です。また、外部からの受入出向者、外部への出向者ならびに協力会社の社員も含みません。

労働安全衛生マネジメントシステムの充実

カネカ全工場では、2007年度から中央労働災害防止協会のJISHA方式適格OSHMS認定を取得し、労働安全衛生マネジメントシステムのスパイラルアップを目指した取り組みを継続しています。

OSHMS認定取得状況

事業場名 所在地 認定年月日 認定番号
高砂工業所 兵庫県 2008年3月10日 08-28-13
大阪工場 大阪府 2007年8月21日 07-27-10
滋賀工場 滋賀県 2008年1月15日 08-25-6
鹿島工場 茨城県 2010年12月13日 10-8-26

転倒・転落災害の防止

過去5年間(2019年~2023年)で特に多い労働災害は、「転倒・転落」「挟まれ・巻き込まれ」です。近年、増加傾向にある「転倒・転落」災害の防止として、労働災害件数の多い国内グループ会社を対象に、作業環境の改善と作業者本人の危険意識の向上に焦点を当て、以下の2項目に取り組んでいます。

作業環境の改善

  • 各社でモデルエリアを設定し、階段や踏み台などつまずきやすい箇所を集中的に改善(50の製造事業場で、134エリア 、216箇所を改善)。
  • 理想的なモデルエリアをベストプラクティスとして全社で共有化。

改善事例

改善前 改善後

危険意識の向上

  • IT技術を活用して一人ひとりの身体的特徴を測定し、転倒リスクを可視化。
  • 「計測→結果分析→転倒リスク低減に効果が期待される体操の実施」を組み合わせ、数ヶ月後に体操の効果確認のための再度計測を行い、PDCAプログラムを構築。2023年度から順次展開中。

※ 「StA2BLE®」は、UNTRACKED株式会社の商標登録です。
(写真提供 UNTRACKED株式会社)

身をもって危険を感じ取る-体感学習-

カネカグループでは、危険感受性を高めるため体感学習を推進しています。学習機材は、従来型のリアル体感設備に加え墜落や感電、引火爆発など17のシリナリオを疑似体感できるVR(バーチャルリアリティー)を導入し、安全意識の向上を図っています。
2023年度は、1,510名が受講しました。

安全技術者の育成

カネカは、安全・安心な工場であり続けるため、より高度なリスクアセスメントの実施と工学的対策の実装に取り組んでいます。2023年度は、これらに対応できる安全技術者の育成を目的に、新たに「プラント安全技術研修」を開講しました。
本研修では、社外学識者を講師に、安全工学・信頼性工学など専門的な教育を行います。2023年度は、ベーシックコース(全7セッション実施)に、20名が参加しました。また、ベーシックコース修了者は、さらに技術的専門性の高いアドバンストコースに2024年度よりチャレンジします。

安全研修(階層教育含む)

カネカグループでは、リスクアセスメント研修、安全技術者研修、体感教育などの安全教育に加え、管理監督者を対象としたライン長研修など、安全の人材育成を継続的に取り組んでいます。2023年度は、カネカグループで2,244名が安全に関する研修を受講しました。

研修名 内容 受講者数
安全教育 HAZOP研修
  • 講義を聴講し、理解度テストと演習を実施
  • 社内講師によるHAZOP手法の基礎講習と演習・解説
68
専任安全技術者研修
  • 安全衛生に関する当社実態の認識
  • 各種安全技術の講義・課題実践
14
ヒューマンエラー防止・分析研修
  • 講義を聴講し、理解度テストと演習を実施
  • ヒューマンファクター、ヒューマンエラーの理解
  • 事故・災害分析手法の理解とグループ実践
10
ケミカルリスクアセスメント(CRA)研修(爆発火災防止編)
  • 講義を聴講し、理解度テストと演習を実施
  • 化学物質のリスクアセスメント新指針を反映した危険性に関する手法の解説と演習
  • 爆発火災防止のCRA概論と化学会社における爆発火災の実態
  • CRAに必要な情報収集方法
33
ケミカルリスクアセスメント(CRA)研修(健康障害防止編)
  • 講義を聴講し、理解度テストと演習を実施
  • 化学物質のリスクアセスメント新指針を反映した危険性に関する手法の解説と演習
  • CRAに必要な情報収集方法
35
機械包括安全技術研修
  • 社外講師による機械包括安全技術の基礎講習・解説。受験対策講座・指導
30
リスクアセスメント研修
  • 講義を聴講し、理解度テストと演習を実施
  • 自社のリスクアセスメント紹介とグループ討議
  • 写真や動画を用いた潜在リスクの理解
  • 作業リスクアセスメント、プロセスハザード解析に基づいたアセスメントの理解
29
プラント安全技術研修
(ベーシックコース)
  • 安全衛生に関する法規制・法令類、社内の基準・規程類の概説(プラント安全基準、変更管理基準など)
  • 各種安全技術の講義・課題実践と理解度確認
20
安全体感教育
(挟まれ・巻き込まれ防止)
  • 体感型学習設備、動画による「挟まれ・巻き込まれ防止」等の体験
  • 安全知識と所作の講義
  • グループ討議により現場設備との連動
222
安全体感教育
(静電気、爆発・火災)
  • 体感型学習設備、動画による火災爆発静電気等の体験
  • 安全知識と所作の講義
  • グループ討議により現場設備との連動
206
VR安全体感教育
  • VR体感学習設備を用いて「挟まれ・巻き込まれ防止」等を実施し、危険な行動を認識してもらう
  • 安全知識と所作の講義
  • グループ討議により現場設備との連動
1,510
ライン長研修 新任製造部長・製造グループリーダー研修
  • カネカグループの環境安全実態の理解
  • 法令、規程の再認識
  • 部署長の責任・安全管理講義と討議
製造課長安全マネジメント研修
  • カネカグループの環境安全実態、傾向の理解
  • 法令、規程・基準の再認識
  • 社外学識者の講義、責務の理解と討議
  • 安全マネジメントと行動
24
新任製造課長安全研修
  • カネカグループの環境安全実態の理解
  • 法令、規程・基準の再認識
  • 課長の責任・安全管理講義と討議
  • 安全マネジメント行動の宣言
3
グループ会社新任製造責任者安全研修
  • カネカグループの環境安全実態、傾向の理解
  • ライン長の責務、法令・規程の再認識
  • ライン長の安全管理行動を考え討議する
30
職長マネジメント研修
<労働安全衛生法研修>
  • 労働安全衛生法第60条に基づく労働安全衛生教育
  • カネカグループの環境安全実態、傾向の理解
  • 法定、規程・基準の再認識
  • 職班長の責務と管理行動の理解
10

安全表彰

日本化学工業協会による無災害確認事業所認定

社名 認定無事故無災害所定期間
カネカソーラーテック(株) 3年以上
カネカ東北スチロール(株) 10年以上
カネカ関東スチロール(株) 10年以上
OLED青森(株) 10年以上
玉井化成(株)第一工場 10年以上
玉井化成(株)第二工場 10年以上

カネカグループ無事故無災害表彰基準に基づく社長安全表彰(2023年度)

社名 表彰無事故無災害期間
(株)カネカメディックス 2010年11月9日~
カネカソーラーテック(株) 2018年10月31日~
栃木カネカ(株) 2012年5月26日~
セメダイン(株) 2019年1月11日~

CHECK & ACTION

2023年の労働災害は16件でした。引き続き、ゼロ災達成に向けて安全基本行動の徹底、ライン管理の強化およびリスクアセスメントの基盤強化を推進していきます。

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