カネカ 日本の化学会社初のグリーンボンドを発行
2019年8月26日
株式会社カネカ(本社:東京都、社長:角倉 護)は、第7回無担保普通社債として、カネカ生分解性ポリマーPHBH®(以下、PHBH)の製造設備および研究開発の資金調達を目的とするグリーンボンド(環境債)を発行します。募集金額は50億円、発行年限は5年で2019年9月発行予定です。グリーンボンドは、ESG債のひとつで、環境問題の解決に貢献する事業に資金使途を限定した債券です。事業債として日本の化学会社では初めての発行となります。
PHBHは、当社が開発した100%植物由来の幅広い環境下で優れた生分解性を有するポリマーであり、なかでも海水でも生分解するユニークな物性を有します。近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染が生態系への影響を与えるとして世界的な社会問題となっていますが、PHBHは海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE*1」を取得しており、海洋汚染低減に大いに貢献すると期待されています。
欧州では使い捨てプラスチック削減に向けて各種規制が強化されており、PHBHは果物・野菜袋やコンポスト*2袋などへの採用が進み、販売量が増加しています。また国内では、コンビニエンスストアや化粧品メーカーなど大手顧客において、ストローやレジ袋、包装材など幅広い用途で採用が進んでいます。今後更なる需要拡大に向けて、PHBHの製造設備(高砂工業所)の現行生産能力を年間1,000tから5,000tに増強することを決定しており、2019年12月の稼働を予定しています。
当社は、「人と技術の創造的融合により未来を切り開く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します」を企業理念として掲げ、社会的課題の解決と企業としての成長を通じて、新たな価値を創造し、社会の発展に貢献することを目指しています。2018年にESG経営への進化に取り組むべく「ESG憲章」を策定し、製品の全ライフサイクルにおいて、それぞれの段階でも地球環境保護に取り組み、資源の保全、環境負荷の低減により、社会の持続的発展と豊かな社会の実現を目指しています。また「カネカは世界を健康にする」という考えのもと、「環境・エネルギー」、「食糧」、「健康」の社会的な3つのクライシスに対し、ソリューションプロバイダーとしてグローバルに価値を提供し続けております。
<グリーンボンドの概要>
・名称 :株式会社カネカ第7回無担保普通社債
・発行体 :株式会社カネカ
・発行額 :50億円(予定)
・発行年限 :5年(予定)
・発行時期 :2019年9月(予定)
・主幹事 :野村證券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
・グリーンボンド・ストラクチャリング・エージェント :野村證券株式会社
・資金使途 :カネカ生分解性ポリマーPHBH®の製造設備の工事費用及び研究開発費用
・グリーンボンドとしての適格性:
当社は、グリーンボンド発行のために国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2018」及び環境省の「グリーンボンドガイドライン2017年版」に即したグリーンボンド・フレームワークを策定しました。本グリーンボンドの適格性と透明性の確保および投資家への訴求力向上のため、第三者評価として、株式会社格付投資情報センターから、当フレームワークがグリーンボンド原則2018及びグリーンボンドガイドライン2017年版に適合する旨のセカンドオピニオンを取得しており、また、同社のグリーンボンドアセスメントにおいて、最上位評価である「GA1」予備評価を取得しています。
リンク:https://www.r-i.co.jp/rating/products/green_bond/assessment.html
なお、グリーンボンド原則における対象となる事業区分及びSDGsにおける対象となる開発目標は下表の通りです。
グリーンボンド原則 グリーンプロジェクト・カテゴリー |
SDGs 開発目標 |
・汚染防止および管理 |
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以 上
- 海水中(30℃)で、生分解度が6ヵ月以内に90%以上になること。ベルギーに本部を置く、国際的な認証機関Vincotteより、2017年9月認証取得。Vincotteは2017年12月TÜV AUSTRIA Belgium NVに認証業務を引き継いだ。
- 生ゴミなどの有機物を微生物の働きで分解させて堆肥にする処理方法、またはその堆肥のこと。